酸化鉄
酸化鉄(Iron Oxides)は、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄等があります。 いずれもファンデーションやアイカラーなどのメイクアップ製品に使われ、それぞれ赤色、黄色、黒色の顔料として使われ、組み合わせることでいろいろな色が表現できます。表示上は全て『酸化鉄』となり、有色顔料として安全性や安定性に優れた着色料です。酸化鉄は古くは今から一万五千年前の旧石器時代後期のクロマニョン人によって描かれたフランスにあるラスコー洞窟の壁画などにも使われています。
ベンガラは、現在は合成により三二酸化鉄から得られている、暗赤色~赤褐色の粉末の赤色顔料です。名前の由来はインドのベンガル地方から輸入した天然の酸化鉄を原料としていたことからつけられた名称となっています。日光、熱、空気、水分に強く、主にファンデーション・アイカラー・眉墨などのメイクアップ製品に好んで使われています。
黄酸化鉄は、黄色の天然顔料でフェリットエロー、マルスエローとも呼ばれ、主としてオキシ水酸化鉄及び水酸化第二鉄からなる黄色の合成色素です。黄色の天然顔料といえば黄土(オーカー)やシェナが以前使用されていましたが、品質が一定しなかったため、代わりに合成酸化鉄が使用されるようになりました。粒子の大きさによって若干色合いが変化し、粒子の大きいものは橙黄色、小さくなるにつれて黄色が増すとともに着色力が強くなっていきます。科学的には耐熱、耐光にもすぐれています。
黒酸化鉄は、黒色の着色顔料として、以前は天然の磁鉄鉱を粉砕して鉄黒としていましたが、現在は合成されています。主成分は四三酸化鉄で黒色の粉末になっています。黒色の着色料というと他にカーボンブラックがありますが、カーボンブラックほど着色力が強くないので調色が簡単であることから、マスカラ・アイライナー・眉墨などに使用されています。